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(as of Jul 19, 2023 20:12:57 UTC – Details)
【本文抜粋・一部改変】
■「一夏で500万円稼ぐ農業ドローンオペレーター」脱サラして最先端ビジネス「ドローン」で稼ぐ32歳男性の正体とは。
九州・熊本県に「農業ドローン」で妻と2人の子どもを養う男性がいる。農業ドローンオペレーター佐藤さんだ。佐藤さんの1日の稼ぎは、多い日には50万円にもなるという。農業ドローンを使った仕事とは、一体どのような稼業なのか。この日、佐藤さんの仕事に同行した。5月初頭、田植えが終わった田んぼで佐藤さんと待ち合わせした。時間は朝の5時。佐藤さんは農業ドローンを積んだ軽トラックで現れた。「それでは、作業を始めますね。」ドローンを軽トラから下ろし、手際良く組み立てていく。粒状の農薬をドローンのタンクにザラザラと注ぎ、準備は完了だ。ブーンドローンが飛び上がった。タンクの底から農薬をバラバラと放出しながら、ドローンは田んぼの上を飛んでいく。田んぼの水面はポツポツと水しぶきをあげ、農薬が満遍なく入り込んでいく。ものの10分で、約1ha(100m×100m)ほどの面積の散布飛行が終わった。これで作業料は約3万円というから驚きだ。農薬は作業を依頼した農家さんが準備するので、農薬代はかからない。「次の現場に移動します。」佐藤さんは軽トラに乗り込み、3分ほどの距離の次の作業現場に移動した。こうして佐藤さんは朝5時から朝の8時まで、計6か所の現場を周り、この日だけで約13万円を売り上げた。この日の仕事はこれで終わりだという。「明日も朝5時から散布の仕事が入っています。それまでは、自由時間ですね。」佐藤さんは生き生きとした表情で、そう言って笑った。時間はまだ朝の8時。世間は通勤、通学で慌ただしくなる時間だ。片や仕事を終え自由な1日が始まると考えたら羨ましいように思える。何より、ドローンを飛ばしている佐藤さんは、まるで少年のように楽しそうだった。農業ドローンでの仕事とは一体どういうものなのか。今回は、最先端ビジネス「農業ドローン」で稼ぐ佐藤さんに話を伺った。
■農業ドローンで、一体何をしているのか?
農業ドローンでの仕事は、「農薬の空中散布」だ。ドローンが登場する前までは、人が農薬が入ったタンクを背負い、直接田んぼの中を歩き、農薬を散布していた。文章で書くと何気ないが、想像を絶するほどの重労働だという。農薬が入ったタンクは、散布装置のエンジンと合わせて、20kg近くにもなる。足元はぬかるんだ泥水だ。そして、炎天下のなか、農薬を吸い込まないようマスクをして、ひたすら田んぼの中を進み続ける。途中、農薬が切れれば、補充に戻る。1ヘクタール(1ha)(100m×100m)の作業をするのに、健康な男性でも3〜4時間。高齢者だと丸一日かかるという。農業で生計を立てるには10ヘクタールは必要なので、単純に一人で10日はかかる作業量だ。しかも田んぼに入るのは1回だけではない。農薬は、時期や作物の状態に合わせていろいろな種類を使用するため、シーズン中は何度も田んぼの中に入る必要がある。「毎年、多くの方が亡くなっています。」作業中に熱中症で倒れてしまうケースや、前のめりに転んでしまい、タンクの重みで起き上がれず、そのまま窒息してしまうケースもあるという。このように、農薬の散布は、非常に過酷で危険を伴う重労働なのだ。そこで脚光を浴びているのが、ドローンである。専用のドローンに農薬を搭載し、空中から農薬を散布すれば、1ヘクタールあたり約10分で作業が完了する。「一度ドローンを見てしまったら、もう通常の作業には戻れませんね。丸一日かかっていた作業が、10分で終わってしまうのですから。何より、田んぼの中に入らなくていい、というところが最大のメリットです。早くて、楽なんです。」実際、ドローンを飛ばしていると、隣近所の農家が、「次はウチもやってくれ!」と声を掛けてくるそうだ。このように、農薬の空中散布は非常に効率的な農作業なのだ。
■なぜ農薬を散布するのか?
素人質問で恐縮だが、こんな疑問を抱いてしまった。素人からすると、「農薬=体に悪い」、「害悪だ」という印象がどうしてもある。近年の健康ブームや環境問題意識により、農薬を使用しない「有機栽培」が人気だと思うが、農薬の散布とは実際どうなのか?「農薬を使用しないなんて、農業の現場からすると、有り得ません。あっという間に虫や雑草だらけになってしまって、とても栽培なんてできません。」有機栽培は、「手間」「時間」「コスト」を掛けて、一つ一つ丁寧に管理すれば、可能だという。しかしそれでは採算は取れないし、規模が大きくなればなるほど不可能になってくる。そうなると、趣味の世界か、企業と専属契約をしているところでしか実現できない。農作物が育ちやすい環境というのは、当然ながら、雑草や昆虫にとっても過ごしやすい環境ということになる。対策をせずに放っておくと、あっという間にとんでもない無法地帯になってしまう。一つでもそんな農場があれば、周囲に雑草のタネや虫の卵が広がり、地域一帯が全滅してしまう。農薬が開発される前までの人類は、一日中、虫や雑草などと戦っていた。農薬が開発されたことで、人類は「無益な労働」から解放され、収穫量は何倍にも増えた。農薬がなかったら、人類は今ごろ食糧不足で苦しんでいたはずだ。なるほど、農業と農薬は、切っても切れない関係にあるのである。農業は、人が食べる食糧を作る行為だ。だから今後どんなに世界が変わろうとも「農業」がなくなることはない。ということは、農薬散布という仕事も無くならないはずだ。
■作業単価は?
ここで気になるのがやはり作業単価だ。農薬の空中散布を依頼した場合、その散布代行料はいくらになるのだろうか。
「作業単価は、その地域によって、全く異なります。1ha(100m×100m)あたり、1万円〜5万円です。平野などの平坦で散布作業が簡単な地域では、1万円台になります。一方山間部など、散布飛行が難しい地域では、作物によっては5万円を超えるところも出てきます。私が活動している熊本県での相場は、約3万円です。」1haとはどれくらいなのか。お米でいうと、約5tが収穫できるイメージだ。出荷すると、約130万円ほどの売り上げになる。そう考えると、3万円でも必要経費と考えれば高くはない。専業農家だと、最低でも10haは持っているという。「1haあたりのドローンでのフライト所要時間は、約10分です。10haあっても、朝の数時間があれば十分終わります。」散布代行を10ha行った場合、それだけで作業料は30万円になる。このようなお客さんを4人抱えていて、年に違う農薬を3回ずつ散布したとすれば、収入は360万円となるイメージだ。「私はドローン散布専業で動いているので、年間のべ200haほど散布しています。人を雇ってチームで動いている人だと、300ha以上散布しているところもあります。」佐藤さんの単価で考えると、単純に200ha散布すれば600万円の収入だ。ここからドローンのローンや税金などを払っていくが、それでもサラリーマンの平均年収以上は確実だ。繰り返すが、これは朝から晩まで働いて稼ぐ額ではない。早朝の3時間、しかも夏の農薬散布シーズンのみの稼働で稼ぎ出すのだ。
■ドローンを始めたきっかけは。
「私は実は、農家出身ではないんです。」佐藤さんは、前身は地元の食品メーカーに勤めるサラリーマンだったそうだ。元々独立願望があり、コンビニのフランチャイズや、学習塾経営、ガソリンスタンド経営など、様々な起業アイディアを探しているときに、「ドローンによる農薬散布業」を知った。「ドローンを買ってさえしまえば、あとは自分の体一つで稼ぐことができる。これだ!と思いましたね。」今、佐藤さんのように、農家ではない人間が農業ドローンで農薬散布業に参入するケースが増えているという。一般的には、農業ドローンというものは農家が自分で使う道具として購入する。だがそうするとそれを見た近所の農家が、「お金を出すからウチもやってくれないか。」と声をかけてくることが多いそうだ。しかし、ドローンを買った農家自身は自分の田んぼで手一杯で、他の人の田んぼに散布する余裕はない。そのため、多くの面積を農薬散布するとなると、結局は「散布専門」の人材が必要となってくる。このニーズに応えたのが、まさに農薬散布代行サービスなのである。
■農業ドローンの汎用性とは?
稲だけでなく、麦や大豆、野菜や果樹など、ドローン用農薬が販売されている作物であればドローンが使用できる。また、林業やゴルフ場、ビニールハウスや太陽光パネルの洗浄だって可能だ。アイディア次第で可能性は広がる。そして驚きなのが、実は、農業以外でも農業ドローンは使用できるという。「新型コロナウイルスの影響で、消毒液の散布に需要があります。」これは農薬散布のライセンスがあれば、法律上問題なく行える行為である。(・・・)
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第1章 農業ドローンでの仕事とは
第2章 農業ドローンの購入方法
第3章 農薬散布の仕事の始めかた
第4章 農業ドローンビジネスの展望
第5章 まとめ
ASIN : B08WHRG4J6
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